富士〜伊豆地域密着情報サイト FUU-IZU サイト運営 (社)静岡県ニュービジネス協議会
伊豆グルメ でぶりんこひーちゃんの夜食講座
TOP > 伊豆グルメ >ウナギ佃煮の贅沢茶漬け
■ ウナギ佃煮の贅沢茶漬け
レシピ
    <ウナギの佃煮>
  • ウナギの白焼き一匹分
  • 醤油、砂糖、味醂、日本酒、扇風機
    <お茶漬け>
  • ウナギ佃煮
  • カツオ節、醤油、生姜、あさつき、山椒

三島といえばウナギだ。東京からも観光客がウナギを求めてやってくる。観光客は桜家か緑町うなよし、ジモティは本町うなよしとか系列の澄乃坊とか清水町のうな繁とか。まあ、どこで食ってもうまい事はうまいんだが、客の顔を見てからさばくので時間がかかるような店は皆無だね。そんなのは江戸時代の話であって、むかしはノンビリしていたから美味しいお新香を出すというのがウナギ屋の誇りだったのだ。お新香で一杯やってジックリと焼けるのを待つ。これが不味かったら話にならないし、量がちっぽけだったら話にならない。タップリと大盛りのお新香で腹をなだめつつ嗅ぐウナギの匂いが、また食欲をそそるというものなんだが、今では客が多すぎて流れ作業だし、お新香もちょっぴりだ。また、ジモティもウナギ好きだからね。昔は三島の人間はウナギを食わなかったもんだが。ウナギは三島大社の使いだと言われていて、街の中を流れる小川にもウジャウジャいたが、誰も食べなかったそうだ。それが何故、三島のウナギが名物になったのかというと、これには三島女郎衆とか沼津の名物がドジョウ鍋だったとか田方平野の農産物の集散地だとか、いろんな理由があるのだが、今回は割愛させていただこう。

さて、今回は格調高いぞ。何せ、昭和天皇が愛したウナギ茶漬けだ。先帝陛下はことのほかウナギをお好みになられて、特に京都の老舗から献上されるウナギの佃煮をお茶漬けにされて食されるのが好みだったそうだ。「あれはまだあるかね?」と女官にお尋ねになって、一匹のウナギを何度にも分けて食されたそうである。おいらは一匹6000円もするウナギの佃煮は買えないので、霞ヶ浦名物のウナギの大和煮というのを食べている。これは一匹1000円だ。年寄りの夫婦が小さな店で白焼きを焼いて東京の食堂向けに出荷しているのだが、大和煮はその副業である。甘く煮てあって、煮こごりみたいにゼラチン質に固まっている。でもウナギが名物の三島では、佃煮も大和煮もあまり聞かない。もっぱらシンプルに蒲焼き。三島の人間は蒲焼きばかり食っていても飽きないらしい。たまに「蒲焼きは飽きた」と言って白焼き食ったりしているが。白焼きも山葵つけて食うとうまいよね。最近では真空パックなんてのが流行りはじめて、家庭でも気軽に三島のウナギが食べられるようになった。でも、やっぱりウナギはウナギ屋で食ったほうがうまいような気がする。レンジでチンと炭火では有難味も違うし。そこで、今回はご家庭ならではの一品。ウナギ佃煮のお茶漬け。ちょっと手間はかかるけど、いつもの蒲焼きとはまた違った楽しさがある。

まず、白焼きを探そう。三島では佐野美術館の南隣りに山本川魚店というのがある。ここはウナギの問屋で、裏では常時、生きたウナギにジャージャーと水が浴びせられている。霞ヶ浦に面した土浦でもよく見る光景で、ウナギというのは調理の寸前まで生かしておくものなのだ。ここでは白焼きも蒲焼き真空パックも売っている。巨大な白焼きが710円と安い。和風食堂なんかだと、この白焼きを仕入れてタレ塗って焼いて客に出すのだ。安いのは、そうした業務用だからかも知れない。この、串にささったままの白焼きを買って、これを煮るところから始めよう。いくらおいらが物好きでも生きたウナギを捌くところからやるのは面倒臭い。佃煮は醤油、砂糖、日本酒、味醂などで煮る。白焼きを買うとウナギのタレを付けてくれるが、それでも良い。もっとも量が足りないが。ウナギはかなり長時間煮ないと味が染み込まないので、弱火でチビチビ水を足してやりながら、焦げ付かないように頑張る。目標は2時間だ。佃煮工場では湯煎で煮る。湯煎なら焦げ付く心配はないけど味はイマイチだという説もある。

気をつけなきゃならないのは、三島のウナギは柔らかいので崩れやすいという事。煮ながらひっくり返したり、上下を入れ替えたりとかは不可能だ。串は、邪魔な部分をニッパか何かでカットしておいて、煮てから抜いた方が楽かも知れない。多少汁が残っていても、醒めると煮こごりみたいにゼラチン質に固まる。とにかく目標は2時間だ。佃煮はいろいろ作ったけど、ウナギがいちばん面倒臭いね。脂っけが強いので、とにかく味が染み込まない。しょっちゅう水を足してやらないと焦げ付く。他にも作り方はあるんだろうけど、昭和天皇御用達の京都の老舗というのも白焼きを煮るのだそうだ。京都の老舗というのは、こういう非常に面倒臭い作業を奴隷のように黙々とこなして至高の味を作りあげるという店が多い。和菓子屋なんかも、ひたすら練って、練って、練って、練って、練って、練って、練り続けて一生を終えるそうな。うまい物を作るのに手間を惜しんではいけない。カネは惜しんでも良いが。

水っ気がなくなってきたら降ろして扇風機。扇風機は佃煮屋の秘密兵器だ。熱いままの鍋を急いで降ろして、扇風機で強力な風を送る。わずかに残った水気を、焦がさずに飛ばすテクニックだ。串は、ここで抜くと楽に抜ける。で、冷めれば完成なんだが、切ってみるとまだ中がほんのり白っぽかった。あるいは切ってから煮たほうが味は染み込みやすいかも知れないが、そこら辺は好みによる。全体が茶色く染まるほど煮てしまうと、ショッパイばかりでウナギの旨味が感じられないので、これはこれで悪くないと思う。

さて、ここまでは準備段階。いよいよお茶漬けだ。これには諸説あるのだが、天皇陛下のお茶漬けレシピというのは、シンプルに山葵乗っけて煎茶をかけた物らしい。佃煮が濃い味に仕上がっているなら、それも良い。今回は佃煮そのものは薄味なので、煎茶ではなく鰹節の出汁と醤油でツユを作り、生姜と葱という、おいらのいつものレシピで食ってみた。冷めた佃煮は、煮こごりみたいにゼラチンが固まってプルンプルンしている。そこに熱いツユをかけると、ゼラチンが溶けてウナギの旨みがどんぶり一杯にひろがる。あとは摺りおろした生姜。ウナギというと山葵が定番だが、親戚から貰った生姜が大量にあったので使ってみた。これも悪くない。というか、山葵は熱に弱いのでお茶漬けに使うと辛みが出ないのだ。更に、とどめの山椒。ウナギには山椒が似合う。ウチでは親父の遺言で飛騨山椒というのを取り寄せて使っている。味が変わらないように冷凍庫で保存しなければならないが、その香り高さは絶品だ。内陸の京都では佃煮が名物なのだが、京都の佃煮には必ずといっていいほど山椒が入っている。何を食っても山椒の味でウンザリするほどで、京風の佃煮を作るには山椒は必需品なので、これもぜひ、揃えておくと良い。今回は佃煮には入れずにお茶漬けにしてからちょっとだけふってやる。葱はタップリと。いつもの蒲焼きみたいにネットリじゃなく、あっさりとして、しかもコクがあって香り高い、絶品の贅沢茶漬けの完成だ。