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伊豆グルメ でぶりんこひーちゃんの夜食講座
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■ 豚ホルモンのジンギスカーン鍋
レシピ/4人前
  • 豚生モツひと袋
  • 豚レバー300g
  • 豚肉300g
  • 白菜、太ネギ、春菊、ダイコンなど野菜適量
  • 春雨
  • 焼肉のタレ(辛口)
  • 乾しシイタケ数枚

ホルモン焼きという食い物がある。豚の臓物を焼いて食うもので、最近では焼肉と混同されがちだが、本来はまったく別種のジャンルに属する。またジンギスカン鍋というのもあって、これは羊の肉(ラム肉)を焼いて食うもの。独特の鍋を使うのだが、その周囲に野菜を置いておくと、肉から垂れた汁が野菜にしみ込んで美味だったりする。

使う野菜というのはピーマン、人参、玉ねぎ、キャベツ、もやし、シメジ、えのきなど。まあ、焼いて食う種類の野菜だ。ところが、今回紹介するのは、鍋こそジンギスカン風ではあるが、焼くのは豚のモツ(大腸)やレバーなどのホルモン系臓物がメイン。野菜も煮て食うたぐいの鍋野菜、つまり白菜、太ネギ、春菊など。ダイコンも下茹でしてスープに漬かる程度に小さく切れば使えそうだね。忘れちゃならないのが春雨だ。最後のシメはたっぷり肉汁を吸った春雨というのが、この料理のお約束になっている。

と、こんな説明ではまったく理解できないだろうが、鍋の写真を見てもらえば一目瞭然。まん中が焼き場、周囲が鍋になっているのだ。これを専用の炭火コンロに乗せて、シイタケで出汁を取ったスープを500mlほど周囲に溜めておいて、そこで野菜を煮つつ、まん中で臓物を焼くという仕組み。まず脂身で焼き場をしっとり濡らしてやる。火がまわってきたら、焼肉のタレに漬けておいたレバーとかホルモンとか肉とか並べる。焼き場が丸いのでコロコロ転がって周囲に落ちてしまうね。

そこで周囲に野菜を盛りあげて転落防止柵を構築。もちろん焼いてる最中、肉汁はダラダラと周囲に垂れる。単純なシイタケ出汁だったスープが、時がたつにつれどんどんおいしくなってくる。野菜も肉汁吸っておいしくなる。それまでしばらくの辛抱なのでビールを飲みながら、モツ肉焼きの番をしながら待とう。

ちゃんと焼けたら、ひとりひとりお椀を抱えて、肉やホルモンを取って食べる。このお椀はスープをレンゲでしゃくって飲んだりするにも使う。スープそのものには味付けしてないので、焼肉のタレで味付けするのがいい感じだ。熱くて舌を火傷しそうな肉は一度スープに漬けて醒まして食うというのも利口なやり方だね。スープは単純なシイタケ出汁で良いが、鍋に収まる量(約500ml)の倍以上は必要だ。みんながお椀に取ったり、蒸発したりで鍋のスープはどんどん少なくなるので補充しなきゃならない。それに鍋はアルミ製だし熱源が炭なので、スープがなくなったままほっとくと溶けてしまうので気をつけよう。

また、焦げはじめると大変なことになるので、脂身を用意しておいて焦げ付き防止も大事だ。いやはや焼きはじめると忙しいね。炭火だと最初はジレったいけど火がおこって来ると一段と忙しい。けど、適度に腹がくちくなった頃には火力も落ちて、残った春雨つつきながらゆっくりビールを飲むヒマも出来るというものである。良くできてるね。携帯ガスコンロでもいいけど、やっぱり炭火が最高だ。

ところで、この料理を食うには何といってもこの鍋がないと始まらない。通常のジンギスカン鍋ではスープを溜める事が出来ないのだ。で、どこで鍋を売ってるのかというと、実はタイランド。これはバンコクの裏町で出稼ぎ労務者とかが食っているタイ式バーベキューという料理なのだ。肉を食えない貧乏人が、捨てるような部分をおいしく食べるための道具であって、ささやかながらも屑肉と内臓と野菜とスープでフルコースな食事をいただこう、という趣旨である。

日本なら仕上げは饂飩だったりするが、あの国では春雨を使う。春雨は、じっとりとスープを吸い込んでくれるので、なかなか良いものである。おいらホルモン大好きで、タイに行くと道ばたで営業してるこの種の店によく行くんだが、外国人客が珍しいのか、サービスのつもりなのか、店の親爺がおいらの顔を見ると肉や海老ばかり持ってくるのが困りもの。あの国では冷蔵庫が普及してないので、内臓系はその日のうちに食ってしまうしかない。したがって値段は極端に安いのだ。というか高級な素材を使うのはこの料理の趣旨に反すると思う。

東南アジアでは料理というのは戸外でやるものである。なんたって暑いから室内で火は使いたくない。ましてコレはテーブルの上で炭火焼きやってるわけで、いくら氷ぶち込んだビールあおっても瞬時に汗になって流れ出る。しかも食材は捨てるような内臓系。下世話な食い物であることは言うまでもない。

バンコクでもお洒落なエリアでは見かけない。出稼ぎ労働者が集まるランナムB級グルメ街の、しかも路上の名物だ。日本では無煙ロースターなんて無粋なシロモノが普及して、お洒落な娘さんがお化粧バッチリで、やれ極上カルビだの、トントロだの食ってるようだが、ここはホルモン焼き本来のバーバリズムでガツガツ行きたい。なんせ「ホルモン焼き」の語源は「ほおるもん(捨てる部分)を焼く」から「ほるもん焼き」なのだから。してみると、このタイの貧乏人BBQというのはホルモン焼きのまっとうな精神をしっかり受け継いだ料理なのだろう。

タイまで数百円の鍋を買いに行くというのも、カッコいいかも知れないが無茶な話なので代用品を探してみると、ジンギスカン用だけど深い鍋というのも使えるかも知れない。あまりポピュラーではないが、たまにスープが溜められそうな深い鍋も売っているのだ。ネットで探すとあるかも知れない。でも結構高いかも知れない。

野菜は何といっても箱根産だ。鍋に使うような白菜、ダイコンなどの冬野菜は箱根西麓の隠れた名産品なのだ。意外に入手が困難なのが肝心の豚ホルモンで、ブームなので牛の生モツはよく見るが、豚は茹でモツだったり、味付けしてあったりと、なかなか見つからない。三島では赤橋の前田精肉店が常備しているようだが、ほかにもあるだろう。というか三島・函南にも「焼肉屋」ではない昔ながらの「ホルモン屋」は何軒かあるので、必ず供給源はあるはずなのだ。タレはとりあえず焼肉の辛口が使えるけど、タイのはもっと辛いので豆板醤を少し混ぜるとタイ風味になったりする。