三島の裏グルメでもっとも有名なのは、通称「ゴムそば」と呼ばれる焼きそばだ。知ってる人は口を揃えて「アレは凄いね」と言う。
何で凄いのかはよくわから ない。おいらも食いに行ってみたが、量が多くて薄味。勝手にソースをドバドバかけ て食うんだが、肉も玉子もオプションで、デフォではキャベツがちょっと入ってるだけだ。250円と異常に安い。それを紹介しようと思ったが、伊豆B級グルメの帝王カッちゃんから猛反対をくらった。
「富士宮ヤキソバみたいに有名になったら困る。あの店はあれで35年間も商売やってるんだから、そっとしといてやれ」との事。それも まあ、そうだ。
考えてみりゃあれは腹の減った高校生やオレンジ村のバンド仲間の主食なんだから、おいらみたいな本物のグルメに評する資格はない。えへん。
ところで、 何故、ゴムそばと呼ばれるかというと外観ゆえだ。色も、表面の艶消しみたいな肌も、 恐る恐る指でつっついた感触も、輪ゴムそのもの。ところが、食ってみるとこれが美味いのだ。世間には「ゴムそば」と呼ばれる麺類は多々あるが、それは「ゴムみたい に噛み切れない」とか「ゴムみたいに味気ない」からゴムそばと呼ばれているわけで、 この麺をゴムそばと呼ぶのはトンだ濡れ衣と言うべきだろう。
実は、その麺というのは赤橋の丸勝製麺所の「赤むし麺」だ。ここにはヤキソバ用の麺は二種類ある。黄む し麺と、この赤むし麺。黄むし麺は富士宮ヤキソバに使われる麺で、太くてモチモチ している。赤むし麺は製造過程で二度蒸しするそうで、輪ゴムじみた外観に似合わず 柔らかい食感だ。「これが丸勝のオリジナル麺だ」とおばちゃんが胸をはるだけある。
そこで、今日の夜食はこれに決定。ヤキソバの作り方なんざ他人に聞くほどの事もな いんだが、ちょっとだけコツがある。使うのは中華鍋。強火で作ると忙しい。5分も あれば完成してしまうので準備が大切だ。豚バラ肉を細切れにして、キャベツも適度 に刻んでおく。塩・胡椒・ソース・マヨネーズ・青海苔・紅生姜を並べておく。 まずは油をひいて肉投入。肉だけではさびしいので、天カスも入れよう。
ちょっと焦げるくらいまで炒めるのが、おいらは好きだ。天カスは意外にヤキソバに は似合う。肉のかわりにベーコンもいいね。洋風パスタ感覚になる。チャーシュー入 れたら中華風になるかどうかはまだ試してないが。次にキャベツ。しばらく掻き回し ているとしんなりして来るので塩・胡椒投入。
野菜は好みで玉葱とか人参とか入れて も良いが、火の通り具合を考慮しながら投入するのがポイントだ。
まあ、最低限キャベツだけは欠かせない。 いよいよ赤むし麺投入だが、ここで大事なポイント。二度蒸した麺は柔らか く、もろくなっているので、普通のヤキソバみたいに乱暴に扱うと千切れてバラバラ になってしまう。まずはサッと水道の水を浴びせてやると、固まった麺がバラッとほぐれる。
中華鍋のまんなかに場所を作ってやって、そこにほぐれた麺を投入する。水を浴びた麺がジュワ〜と騒々しい音をさせて蒸された状態になる。
二度蒸し麺を更にもう一度蒸すわけだ。ほどよく温まってきたら味付けだ。ソースがメインだが、ヤキソバのソースってヤツは加減がむずかしい。常に、多すぎてしょっぱくなるか少なすぎて物足りないか、どっちかだ。絶対に適正な量にはならない。そこで提案したいのがマヨネーズだ。ソースだけでなくマヨネーズも適当に入れる。ソースのしょっぱさが中和されてコクが出てくる。あとは麺が千切れないように混ぜ混ぜして馴染ませるだけ。
青海苔と紅生姜をあしらえば完成だ。目玉焼きを乗せる場合は途中で弱火にして、鍋のまんなかに場所を作って、そこで半熟気味に作るのが便利だ。トロケた黄身を麺にからませてやれば甘くてお子様向けの味になる。カレーの王子さまならぬ焼きソバの王子さまが喜ぶこと請け合いなのであった。